検体測定室の新しい申請方法と書類3つ(2023.5更新版)

食後でも中性脂肪や血糖について新しい知見が広く周知されつつある中、検体測定室を新規に開設しようと考える人も多いのではないでしょうか?ここでは、開設に必要な書類から準備と申請の流れに加え、これまでの変更点や背景、注意点について紹介します。
(この記事は2021.2.6公開記事を更新および改変したものです)

目次

申請に必要な3つの書類

申請に必要な書類を大まかに言うと、以下に示すような「申請届書(様式1)」「各責任者の免許証の写し」「図面」の3つです。

書類① 申請届書(様式1)

「申請届書(様式1)」は厚生労働省ホームページからダウンロードするExcelファイルに必要事項を入力し、PDF等に変換することなくメールに添付します。このExcelファイルの中には6つのシートがあり、そのうち3つのシートは記入例です。

1つ目のシートは、これまでの様式1とそれほど大きく変わりません。ただ、記入欄によってはプルダウンやコメント欄で記入方法の解説があるなど、分かり易い仕様になりました。
2つ目のシート(様式1別紙)は、運営責任者や精度管理責任者が複数人いる場合に記入します。3つ目のシートは自己点検票で、計51個の点検項目について「はい」か「いいえ」のプルダウンを選択します。

書類② 各責任者の免許証の写し

免許証の写しが必要となる該当者は、「衛生管理等を含めた運営に係る責任者」と「精度管理を職務とする者」です。この精度管理責任者について、精度管理を確実に実施する体制が確保されている場合を除き、運営責任者が兼務することはできません※。これらは、それぞれ担う仕事が異なることに注意しましょう。
そして、運営責任者は常勤であることも、“検体測定室に関するガイドライン”(以降、ガイドライン)において明記されています。したがって、有資格者の人数が複数人に及ぶことも。その場合は全員分の写しを添付し、Excelファイルでは2つ目のシートにも合わせて記入します。

※参考:厚生労働省医政局地域医療計画課 医療関連サービス室「検体測定室に関するガイドラインに係る疑義解釈集(Q&A)」(2022年8月)問5

書類③ 図面

検体測定室を開設する予定のスペースを含む、施設内の図面を用意しましょう。注意が必要なのは、全体図として見たとき施設内でどこに検体測定室が位置しているのかを明確に記載することです。単に建築図面を添付するのではなく、寸法や什器、測定機器を設置する場所も書き加えてから添付します。
また、パーテーション(衝立)や椅子など簡単に移動することのできる設備は、実際に運営するときの状況も考慮した上で記しておくとよいでしょう。ただし、パーテーションは安全性の観点から、容易に動くことのないよう固定しておくなどの対応が必要です。

申請から開設までの流れ

申請に必要な書類3つが準備できたら、次の流れに沿って開設に向けて進めます。

Step① 申請前

測定機器だけでなく図面に記す衝立などは、申請前に準備しておくことが必要です。2015年の報告によると、申請が受理されていたにも関わらず、開設準備中であった所が125件もあったのだとか※。まずは、検体測定室の設備を整えましょう。

続いて、測定に必要な検査用試薬や単回穿刺針の購入ルートを確保します。試薬や針の購入は、申請内容に相違が生じないか確認するためにも、あらかじめ手配しておくことが必要です。加えて、使用済みの針や検体の付着した感染性廃棄物を処理するための、ハザードボックスや専門の処理業者との契約も欠かせません。
必要な設備や備品、取引先などが決まったら、検体測定室に備えるべき台帳や手順書などの作成に取り掛かります。

ここで見落としがちなもののひとつは、人員配置。前述のとおり、運営責任者と精度管理責任者の担う役割はそれぞれあり、前者は常勤、後者は定期的に精度管理を実施できることが必要です。物品を準備するのと並行して仕事内容や役割を確認しておけば、後に変更の申請作業があったとしてもスムーズに運ぶでしょう。

※参考:厚生労働省医政局地域医療計画課 医政地発0218第2号 平成27年2月18日

Step② 申請

申請はExcelファイルを添付する必要性もあり、原則としてメールでおこなうことが推奨されています。ただし、ガイドライン上ではメールのほか、郵送やFAXでも可能です。FAXでは読み取りづらい場合もあることに注意しましょう。

実際に開設の7日前までに申請することが明記されている一方で、開設するには別に保健所へ届け出る必要性が生じる場合も。それは、薬局のように普段から管理医療機器の取り扱いをおこなっている場所以外で開設する場合です。
このような場合は、受理された開設届をもって保健所へ出向き、別に単回穿刺針に関する届け出をおこなう必要があります。したがって、最低でも平日10日間以上の余裕をもって申請するのが無難とも言えるでしょう。

Step③ 開設後

無事に開設できたら、運営開始後の1か月間の実績を基に自己点検を実施します。尚、この自己点検は運営開始後40日以内に、厚生労働省医政局地域医療計画課へメールで報告することが必要です。(専用メールアドレス:k-sokutei@mhlw.go.jp
また、開設後には定期的におこなう研修や精度管理のほか、台帳などに記録を残していくことも忘れないようにしましょう。

これまでの変更点と理由

これまで幾つかの変更を重ねてきた、検体測定室を開設するための申請方法。具体的には、2020年12月24日までの様式1には、開設者の押印欄もありました。この押印がなくなった背景にあるのが、2020年7月17日の閣議決定「規制改革実施計画」※です。

時代の流れに沿って法令や通達などが順次、オンラインでおこなわれるように検討が進められる中で様式1も見直されました。

※参考:厚生労働省 押印を求める手続の見直し等について(医政局所管手続関係)「規制改革実施計画」(令和2年7月17日閣議決定)「押印を求める手続の見直し等のための厚生労働省関係省令の一部を改正する省令(通称、整理省令」(令和2年12月25日に公布・施行)

さらに最近では、これまでPDFファイルをダウンロードの上、記入し添付していた様式1もExcelファイルへと変更に。これによって記入漏れが減るだけでなく、実際に検体測定室に掲示された届出書を見る受検者にとっては、どこの検体測定室でも統一感があることで見やすくなるといった期待も持てるかもしれません。

不安がある場合には

初めて検体測定室を導入するときや、今までとは別の場所で開設するときには、細かい悩みも付き物。そのようなときは、申請先の厚生労働省医政局地域医療計画課 医療関連サービス室TEL:03-5253-1111(内線2538、2539)まで、電話をかけて聞いてみるのも方法の一つです。

また、すでに質問が寄せられている内容については、同課の公表している「検体測定室に関するガイドラインに係る疑義解釈集(QA)」で解説がなされています。

もし、ガイドラインを参照しても解決できないときや不安を抱えている場合は、いつでも下記の当社問合せ専用ページよりご相談ください。当社の50件を超える幅広いシーンでの実体験が、何かしらのヒントとなれば幸いです。

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この記事を書いた人

曽川 雅子のアバター 曽川 雅子 株式会社リテラブースト代表、薬剤師

大学卒業後15年間の薬局勤務を経て独立。
多彩なシーンで検体測定室のプロデュースと、エビデンスの確かな記事の執筆提供を中心に活動中。「ここで聞けて良かった!」というお声が原動力。

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