穿刺針の選びかた&注意点について

2021.10.20 Wed

検体測定室で扱う単回穿刺針は、1回きりの使い捨てタイプです。メーカーごとに工夫があり、受検者さんによっても選びかたの変わる”針”について、注意点などをまとめました。

検体測定室で扱う穿刺針(以降、針)は、本体ごと1回使い捨ての ”完全ディスポーザブル” でなければなりません。さらに、管理医療機器として管轄の保健所に届け出たり、廃棄には感染性廃棄物として定められた廃棄処理をおこなう必要があります。

ここでは、針にまつわる抑えておきたいポイントについてまとめました。医療関係の施設内にかぎらず、多くのシーンで開催できる検体測定室だからこそ、安全に運用できるようお役立てください。

目次
  • 検体測定室で扱う穿刺針の ”基本”
  • 3つの視点で選ぶ
  • 受検者さんの満足度を上げるために
  • 運営の前後でおこなう届出等
  • まとめ

検体測定室で扱う穿刺針の ”基本”

検体測定室で手指から血液(以降、検体)を採るためにつかう針は、完全なディスポーザブルでなければいけません。
この、「完全な」というのは、穿刺針の本体まるごと1回使いきりという意味です。これを「単回穿刺針」といいます。糖尿病患者さんがよく使うのは、ペンタイプの本体に1㎝ほどの針を、都度、付け替えて穿刺するタイプの「半」ディスポーザブルタイプ。
検体測定室では、多くの受検者さん(以降、受検者)が穿刺作業を自らおこなうため、感染リスクは十分に配慮しておこなうことが大切です。

また、使い終わった穿刺針は、速やかに ”堅牢で耐貫通性のある” ※1 専用容器におさめて廃棄する必要があります。通常、針は、測定時に受検者へ無償で”販売”するものですが、その場で穿刺後すぐに回収するものです。
当社では測定後の穿刺針について、設立当初からお世話になっている感染性廃棄物取扱い業者へ、イベント規模に応じたハザードボックスを用いて、安全に引き渡ししています。

※1 検体測定室に関するガイドライン(抜粋)平成26年4月9日付医政発0409第4号厚生労働省医政局長通知 第2‐10
「穿刺器具等の血液付着物の廃棄について」より

『 穿刺器具の処理については、危険防止の観点から 堅牢で耐貫通性のある容器に入れて 排出するものとする。
血液付着物の廃棄の際には、安全な処理の確保の観点から、「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」(平成24年5月環境省作成)に基づき 医療関係機関等から感染性廃棄物を排出する際に 運搬容器に付けることとされている バイオハザードマークの付いた容器を 原則利用するものとする。』

3つの視点で選ぶ

針の種類は、探してみると意外と多いことが分かります。検体測定室の開設や運営に慣れている人なら、選ぶ作業についてあまり迷いはないでしょう。
そこには、どのくらいの検体量が採れるものか?どういった受検者のタイプに向いているのか?というような、半ば経験則ともいえる選びかたのコツがあるのです。
数ある製造販売メーカーから情報を集めて検討するときは、次の視点を参考にして選ぶとよいでしょう。

選ぶ視点①|形状

形状は大きく分けて3種類です。
1つ目は、不慣れの場合におすすめな「上押し」タイプ。不安や恐怖から針が浮いてしまうリスクが少なく、しっかりと刺せるため失敗しにくいのが特徴です。
加えて、穿刺されたかどうかの確認が音でわかり、測定をサポートするスタッフ(以降、測定従事者)から針を離すように支援することが出来ます。これにより、穿刺後に血液が針本体へ付着し、採取が困難になることも防げるでしょう。

2つ目は、穿刺部に力が加わりにくく恐怖感の少ない「横押し」タイプ。ほかの2つのタイプとちがって、刺すときのタイミングや、力の入れ具合を調節できることがメリットです。慣れていない人では、押し付ける力が不十分となることもありますが、適切な針の太さ(G、ゲージ)を選べば、問題なく必要な量の血液が採取できます。ただし、上から押しあてる場合とちがって力が横に逃げやすいので、ぶれないように注意しましょう。

3つ目は、穿刺ボタンのない「押しつけ」タイプ。穿刺の作業に慣れている人なら、これが最も簡単で、価格も安い上にスリムな形のため、廃棄にも経費がかさみません。
ただし、穿刺音がしないことと、刺す深さについては受検者にゆだねることになるため、その手技には十分な説明と理解が必要となるでしょう。

選ぶ視点②|測定項目

測定項目によって必要とする血液の量が変わってきます。もっとも量の多い血液を必要とするのは、肝機能の測定です。少なくとも 60μl(およそ小豆大2~3粒)ほど採取できる、太さと深さの針が必要でしょう。太さ(G、ゲージ)でいうなら、21~25Gぐらいの太めの針がおすすめです。※G数は数字が小さいほど太いことを示しています。

次に、脂質測定の場合、肝機能測定までの採取量は必要としませんが、血糖(随時血糖値およびHbA1c)測定よりは多い量が必要です。その量はおよそ 20μl(小豆大1粒)ほど。これには、25~28Gぐらいの太さでも問題はないでしょう。

いちばん血液の量が少なくてすむのは、血糖(随時血糖値とHbA1c)で、米粒1~2つほどあれば十分です。太さは 30Gで十分でしょう。

ただし、適当な太さの針を選択したとしても、正しい手技や、事前に手指を温めるなどの前処置がしっかりとしていなければ、必要な血液の量は確保できません。これらを適切に支援することも、測定従事者には求められているのです。

選ぶ視点③|LOT(発注単位)

単回穿刺針の種類は数多くあるほか、使用期限もあります。
針によっては最小ロットが100個を超えるものも。
形状や採取可能な検体量から太さと深さを決めて選ぶことは基本ですが、少しだけ使ってあとは廃棄というのはもったいない話です。廃棄に所定の手間がかかる針は出来るかぎり最小限の選択をしましょう。

受検者さんの満足度を上げるために

検体測定室で測定をおこなう受検者にとって、自ら針を選べるケースは多くないと予想します。なぜなら、針には期限など管理方法のほかにも、測定従事者が研修をおこなう必要もあるからです。
受検者にとって穿刺作業は、検体測定室の中でおこなう全行程のうちで、もっとも緊張と不安を伴うシーンに違いありません。
その不安を測定従事者がどう払拭できるか、過剰な恐怖感を抱かせずに、安全におこなっていただけるよう努めることが重要な課題です。

どのような仕組みの針か? どのような音がするのか? どのくらい押す力が必要か?
これらを熟知し、受検者が不安に感じたときに適切なアドバイスをおこなえるよう、日頃からの研磨が求められます。

 【 満足度を上げるために 】 
  • 受検者の不安を察してサポートする
  • 針の構造や特徴を熟知しておく
  • 針の使用感を分かりやすく伝える

運営の前後でおこなう届出等

検体測定室の「開設届(かいせつとどけ)」を提出する先は厚生労働省医政局であるのに対し、穿刺針は管理医療機器として届け出先が異なります。
これは、実際に検体測定室を開設しようとしている地域を管轄する、保健所への届け出が事前に必要です。
つまり、検体測定室の開設届とは別に、「管理医療機器販売業・貸与業」の届け出が必要となることに注意しましょう。

この届け出で必要となる管理医療機器営業管理者(1名)には、医師、歯科医師または薬剤師のほか、検体測定室の運営責任者として届け出ている看護師や臨床検査技師もなることができます。
ただし、管理者として届け出る人は、ほかの施設で責任者を兼務していないといった条件もあるので注意しましょう。

届け出の様式は、該当する保健所の公式サイトからダウンロードできます。「医薬」に関するものの届出様式一覧にある ”様式八十八” をダウンロードし、必要事項を記入して提出するとスムーズです。
地域が変わっても、様式番号八十八は変わりませんが、各保健所があつかうフォーマットにより、多少、記入する内容の異なる場合があります。これを正副2通で用意し、万が一に備えて印鑑も持参すると安心です。
また、届け出のときに、各資格を証明する免許証等の原本照合がおこなわれます。原本とともに、提出するための控えも持参しましょう。

事前の届け出は以上ですが、地域によっては、事後での届け出も必要なケースがあります。
検体測定室を廃止または休止したときに、「廃止届」が必要になるかどうか、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。これは、郵送でも引き受けてくれる地域があります。

まとめ

以上より、検体測定室における穿刺針は、測定項目はもとより、受検者と測定従事者も考慮して選ぶことが大切です。そしてその取扱いや申請作業、管理方法における基本事項をふまえた上で、安全かつ適切におこないましょう。


※この記事は2021年10月時点の情報です。ガイドラインの改正などにより、手続きや届出等に変更がある際には、現状をご優先いただきますようお願いいたします。この記事が、これから検体測定室を検討する際にヒントとなりましたら幸いです。

さいごに、これをお読みくださった方の検索にかける時間や労力が、ほんの少しでも減らすことが出来ますよう、心よりお祈り申し上げます。