外部精度管理調査に参加する意味と流れ

2021.11.12 Fri

検体測定室では年に1回以上、外部精度管理調査へ参加することとされています。受検者さんへ分かりやすい“信頼”をしめすものは、正確性について認められた第三者機関からの証明。より良い測定機会をサポートするために、この調査の意味や注意点、流れについて把握しておきましょう。

㈱リテラブーストは、脂質測定の外部精度管理調査パイロット試験をおこなう施設として参加しました。

2021年11月の第9回から、“脂質” 測定における調査も始まった外部精度管理調査。測定機器の精度を確認するため、年に1回以上は参加することと、ガイドラインに明記されています。この調査への参加は既存の血糖(HbA1c)と並んで、受検者さんから信頼されるために欠かせません。

ここでは、外部精度管理調査に関することや注意点についてまとめました。医療関係の施設内にかぎらず、多くのシーンで開催できる検体測定室だからこそ、安全に運用できるようお役立てください。

目次
  • 外部精度管理調査とは
  • 費用
  • 申込から実施までの流れ
  • 受検者からよくある質問
  • まとめ

外部精度管理調査とは

検体測定室ではガイドラインにしたがい、内部でおこなう精度管理のほかに外部でおこなう精度管理調査へ、年1回以上、参加する必要があります
この「外部」とは、測定機器販売メーカーや医療機関ではありません。通常は、検体(血液)の標準物質について取り扱う第三者機関をさします。現在、検体測定室における測定機器について、この調査を提供しているのは 検体測定室 連携協議会 のみ。ガイドラインでは、どの団体の調査に参加するといったことまでは限定されていませんが、実績があって継続的におこなっている、こちらに依頼するのが安全でスムーズでしょう。

2021年11月時点で、この調査の対象となっている測定器は、血糖の指標”HbA1c”で9種類、脂質で3種類(メーカー2種)。対象となっている測定項目は、2021年11月の第9回から、既存のHbA1cにくわえて脂質の調査も始まりました。
検体試料は民間の配送業者を通じて、HbA1cは冷蔵(2020年からすべてが冷蔵に統一)、脂質は冷凍で送付されてきます。

それぞれの測定室内に届け出ている精度管理責任者を中心に、関わるすべての人達で、内容や意義を理解し取り組みましょう。

※1 検体測定室に関するガイドライン(抜粋)平成26年4月9日付医政発0409第4号厚生労働省医政局長通知 第2‐13
「精度管理」より

『 精度管理については、測定機器の製造業者等が示す保守・点検を実施するものとし、検体の測定に当たっては、複数人の検体を一度に測定しないものとする。
また、検体測定室ごとに、精度管理責任者(医師、薬剤師又は臨床検査技師)を定め、精度管理責任者による定期的な内部精度管理を実施し、年1回以上、外部精度管理調査に参加するものとする。 』

費用

調査に参加するための費用は、大きく分けて次の3つです。

費用①|調査参加費

当調査の一連を取りまとめて運営する検体測定室連携協議会へ、申し込み後におこなう調査参加費用です。
この費用は、HbA1cか脂質のどちらか一方、もしくは両方といった測定項目で異なります。加えて、当協議会の会員であるかどうかも差があるため、継続でおこなう検体測定事業者なら年会費を支払って会員となるほうが、長期的に見て安くすむでしょう。
会員になると、この調査が安くなるほか検体測定室の運営に関するさまざまな支援ツールについて、提供を受けることもできます。

※詳細については、検体測定室連携協議会の公式サイト をご参考ください。

※当社は検体測定室連携協議会の法人正会員ですが、この記事や活動は入会の勧誘をおこなうものではありません。

費用②|測定用の試薬代

2つ目の費用は、試料検体を測定するための試薬カートリッジ代。
測定機器1台につき、HbA1cでは最低4つ、脂質では最低2つの試薬が必要です。これらは送付物には含まれていません。
注意しておきたいのは、準備する個数です。必要最低限にぎりぎりで用意しておくと、万が一、測定エラーやヒューマンエラーがおこった際に困ります。余裕をもって準備しておくとよいでしょう。
どうしても足りなくなってしまったときには、結果を該当サイト内で入力する際、”結果が入力できない理由” について入力できる欄があります。必要回数の結果が得られなかったとしても、出た分だけ入力して送信しましょう。

費用③|ほか消耗品&人件費

そのほかに必要な費用としては、使い捨てグローブやアルコール綿といった衛生用消耗品。加えて、測定し終えて残った試料検体やピペット、パラフィルム、ぬぐった酒精綿や紙類を廃棄するための感染性廃棄物における費用です。
試料検体はあらかじめ、HBs抗原やHCV抗体、HIV抗体について検出されていないことを確認のうえ送付されていますが、感染性を完全に否定するものではありません。さらに、通常の測定業務とちがってバイアルやピペットをあつかうことで、感染源となる要因も増えることに注意が必要です。専用廃棄箱(ハザードボックス)も十分な空きをもっておき、必要に応じて、専用ステッカーや廃棄袋なども用意しておくとよいでしょう。

申込から実施までの流れ

申し込みは 検体測定室連携協議会のサイト内 から(会員・非会員ともに)、おこないます。おおまかな流れは以下を参考にしてください。

検体測定室連携協議会のサイト内から申し込み

受付メールが到着↓参調査加費を振込

IDとパスワードなど、必要事項についてのメールが到着

予定日に試料検体が到着

測定を実施

検体測定室連携協議会のサイト内にある入力画面から、結果を入力

精度管理台帳(自測定室内に完備し20年間保管)に記入

2~3ヵ月後くらいに、結果と参加証が送付されてくる

異常が認められた場合はメーカーへ連絡の上、対処

 【 流れにおける注意点 】 

  • 試薬の数と期限を確認しておく
  • タイムキーパーを設ける
  • 送付物以外の備品を用意する

受検者からよくある質問

検体測定室の件数(常設)は、2021年10月末で国の設置目標5,000件に対して2,044件です。これは、十分に周知されているとは言いがたい数かもしれません。
全国各地、イベントなどで検体測定室を運営していると、受験者さんから数々の質問が寄せられます。そのなかで、この調査に関する質問として多いのは、次のようなもの。

・「正確に分かりますか?」
・「病院での測定と比べて差はありますか?」
・「機械の精度は問題ないですか?」

これらの質問や不安に応えるために安心材料の一つとなるのが、この外部精度管理調査への参加でしょう。
また、その結果や調査概要について分かりやすく解説できるよう、日頃から運営スタッフどうしでシミレーションしておくことも大切ではないでしょうか。

まとめ

以上より、検体測定室における外部精度管理調査は、何のために参加するのか目的をもち、その意味を十分に理解しておこなうことが大切です。そして、いつもの測定業務と変わらぬ慎重さと丁寧さをもって、安全かつ適切におこないたいものです。

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※この記事は2021年11月時点の情報です。ガイドラインの改正などにより、手続きや届出等に変更がある際には、現状をご優先いただきますようお願いいたします。この記事が、これから検体測定室を検討する際にヒントとなりましたら幸いです。

さいごに、これをお読みくださった方の検索にかける時間や労力が、ほんの少しでも減らすことが出来ますよう、心よりお祈り申し上げます。