検体測定室に関する専門家からのレビュー#01:管理薬剤師・長井先生/ あやせ薬局(東京都・足立区)

検体測定(HbA1c測定)というツールから、地域住民の健康を力強くサポートする長井先生は、2010年10月より東京都足立区でスタートした「糖尿病診断アクセス革命」というプロジェクトに参加した、あやせ薬局の管理薬剤師で、2017年5月現在各地に1500件以上ある検体測定事業の先駆けともいえる存在の中の一人。プロジェクトが始まり今日まで、実に1800名の検体測定を行い、すべてが無事故だそう。そんな長井先生より、検体測定室について熱いコメントを頂きました。

-なぜ検体測定が有用なのでしょうか?
「糖尿病は自覚症状があってからの受診では遅いのです。自覚症状があるのは既に合併症が起こっている事が多い。HbA1cが5.8~6.0の糖尿病予備軍の段階で見つけ、食生活や生活習慣など提案する。定期的な検査でその値をグラフ化し、自己ケアに意識をもってもらう事が大事です。長い目で見れば、日本の糖尿病患者数は減り、医療費は下がってくる筈。社保や国保、年齢や本人家族の区分により、健診項目にHbA1cが組み込まれていない現状がありますが、即時血糖は食事やその時の体調変化で変動を受け易く、本当の予備軍を見つけ出すにはHbA1cが最適です。保険内容に制限される事なくHbA1cを気軽にいつでも測れるのが検体測定だからです。」

-検体測定室に期待するものは?
「現在まだまだ国民の認知度が低いので、雑誌、TV等もっと沢山のメディアで取り上げられ、受診や健診タイミングの少ない人を早期発見に繋げる事が必要でしょう。」

-最後にこれからの検体測定事業の理想的展開についてお聞かせください
「薬局だけでなく、スポーツジムなど、健康意識の高い場所でも展開するのが理想的です。糖尿病の方に多く見られる、爪白癬(水虫)や歯槽膿漏など、早期発見に繋げる様、接骨院や歯科医院といった場所での測定室設置も大いに意義があると考えます。」

※「健康サポート薬局」とは:
健康サポート薬局とは、かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能に加え、地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する(健康サポート)機能を備えた薬局のことです。平成28年4月1日から健康サポート薬局の制度が開始されています。「健康サポート薬局」と表示するためには、厚生労働大臣が定める基準(平成28年厚生労働省告示第29号)に適合した上で、あらかじめ保健所に届出を行う必要があります。
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この記事を書いた人

曽川 雅子のアバター 曽川 雅子 株式会社リテラブースト代表、薬剤師

大学卒業後15年間の薬局勤務を経て独立。
多彩なシーンで検体測定室のプロデュースと、エビデンスの確かな記事の執筆提供を中心に活動中。「ここで聞けて良かった!」というお声が原動力。

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