いくら必要?検体測定室の開設~運用におけるコスト算出

2021.10.08 Fri

検体測定室の運営には機器本体や試薬などの消耗品コストのほかに人件費や資材作成、運用コストも必要です。見落としがちなものや、外注のほうが結果的にみて安くすむものなど諸経費をまとめました!

2021年9月末で全国の検体測定室件数(常設)は、2,073件まで増加。COVID-19影響で一時期0件となった期間を限定して開設する件数も、少しずつ回復してきました。
一方で、その運営には、コスト(経費)や時間、人財など数々のハードルもあり、手を出さずにいる薬局や企業も多いのではないでしょうか。

ここでは、見落としがちなものや、外注のほうが結果的にみて安くすむもの、初めから予算として組み込んでおきたいものなど、諸経費についてまとめました。医療関係や健康産業にかぎらず、健康リテラシーを引き上げるための多くのシーンで、お役立てください。

目次
  • かかるコストは5つ
  • 外注すれば安くすむケース
  • 見落としがちなコストとは?
  • 収益につなげるために
  • コストの目安3段階

かかるコストは5つ

検体測定室について企画や検討をおこなうとき、その費用は大きく分けて5つに分類できます。細かい設定や金額は、開設の目的によって大きく左右されるため、「何のために開設するか」を前もってしっかりと決めておきましょう。

コスト1:初期投資

まずは測定機器本体の購入を検討します。測定したい項目は何でしょうか?
検体測定室で測ることのできる項目は、肝機能3項目、脂質4項目、血糖2項目。そのうち、もっとも高額な測定機器は肝機能が測れるもので、70~120万円/台ほど。続いて、脂質の場合は、30~50万円/台くらい。血糖のうち、HbA1cの方が随時血糖値を測るものよりも高額ですが、脂質ほどは高くありません(参考:2021年10月1日時点のメーカー公開情報)。
機器によっては、肝機能と一部の脂質や随時血糖値も、あるいは、脂質とHbA1cのどちらも測定できるものがあります。
次に必要なのは、測定室を設置するスペースの確保に関する費用です。パーテーションや机といった什器も、開設申請をおこなう前の初期投資として揃えておきましょう。

コスト2:専用の測定用試薬

測定には受検者さん1人につき、各項目一つずつ試薬カートリッジを必要とする機器がほとんどです。健康診断や献血でよく目にする検査とちがい、採取した血液はその場で専用の試薬カートリッジに充填し、測定機器本体にセットします。
この試薬の値段は機器により異なるため、本体機器の購入時やレンタルする時には確認しておきましょう。
また、試薬ごとの使用可能期限にも差があります。測定の回転数やその予測数をこえる試薬の過剰ストックは、期限切れによる廃棄をまねき大きな損失ともなりかねません。

コスト3:針や衛生品などの消耗品

血液を採取する手指について、穿刺する針の種類は数多くあり、使用期限もあります。
針によっては最小ロットが100個を超えるものも。太さや深さに応じて選ぶことは勿論ですが、廃棄に所定の手間がかかる針は出来るかぎり最小限の選択をしたいものです。

コスト4:人件費(マンパワー)

測定機器本体を購入する以外に、いちばん経費のかかる部分がこの人件費でしょう。
内製化する際には、キーマンといえる数名のメンバーを集めてから、手分けして取りかかることをおすすめします。たとえば、資料作成をする人、メーカーや卸業者と交渉をする人、市場や業界動向を調べる人、運用手順やマニュアルを創る人、というような作業分担です。
どんなに仕事の出来る人でも、不得意分野というのは存在するもの。この不得意分野に余計なストレスや時間をかけてしまうのを、バランスのよいメンバーでチーム構成することで回避できます。

コスト5:広告宣伝費

開設の目的にもよりますが、せっかく検体測定室を運営しているのに全く受験者さんがいらっしゃらなければ、少なくとも損失は避けられません。規模や目的にあわせた効率的な周知、宣伝が必要です。
注意したいのは、測定結果に紐づけされるようなサンプリングや商品の提案をすることは禁止されているということ。これらは告知の際にも、誤解をまねかないようにすることが大切です。 一昔前には、チラシを作って配布したり、折込み広告を手配したりしたもの。現代ではSNS集客も一般的になりつつありますが、そこには広告代をかけるかどうかも悩みの種と言えるでしょう。
受験者さんのターゲット層に合わせた宣伝方法で、無駄のない広告費をかけたいものです。

外注すれば安くすむケース

毎日や毎月のように継続して受験者さんをお迎えする必要がなければ、単発的に期間を限定して開設するのも方法のひとつです。
その場合、初期投資のなかで最も高い測定機器本体を、レンタルにするという検討もできます。実際に購入するとなると30~60万円くらいする機器本体は、1日~数日間なら数万円くらいで借りられることも。
また、手間のかかる申請作業は業者へ外注することで、その分の人件費や労力が省けます。自社のもつ人財や余力、時間の猶予にあわせて検討してみるとよいでしょう。
もし、期間を限定して開設するなら、測定室のレイアウトに必要なパーテーションや椅子といった備品も、レンタルを活用するのがおすすめです。これにより、什器の修理や買い替えといった長期的な費用もおさえられるだけでなく、購入したくなったときに経験から選び、妥協することなく買うことにつながります。

  • 単発なら機器本体はレンタルもあり
  • 申請や資材作成の作業は外注で早い
  • 什器や修飾品はまずレンタルで吟味

見落としがちなコストとは?

コストを考えるとき、研修費用を含めて考えていますか?
熟練スタッフが担当する場合をのぞき、その手技には定期的な練習が必要と考えて間違いないでしょう。なぜなら、気温などの環境要因は日々変わり、そのたびに、受験者さんに対する配慮も変わってくるからです。
たとえ血液採取の支援に慣れていても、測定機器本体の扱いに慣れていても、いつもの慣れた場所だとしても、想定外の事態は起こるもの。
あらかじめ、様々な予測されるトラブルについて共有できる研修を重ねておくと安心して取りくめます。

【想定外の事態例】

  • 発汗が激しくて検体が採れない
  • 試薬の温度管理に時間がかかる
  • 受験者で異なるニーズへの対応

収益につなげるために

残念ながら、測定代金として受験者さんからいただく費用を収益として考えることは、難しいでしょう。なぜなら、測定の都度かかる試薬代や針などの消耗品を差し引くと、それだけで測定代の相場価格に達することがあるからです。
したがって、「収益」の捉え方を、もっと長期的な視点で考える必要があります。
たとえば、一般企業内では、従業員の健康意識を底上げすることにより、結果的に作業効率があがり功績につながるとか、離職率をさげることでリクルート活動にかける費用を抑えられるといった期待がもてるでしょう。
一方、薬局やドラッグストア、フィットネスクラブというような健康に関するアドバイザーがいる環境では、他社との差別化や従業員の指名率向上にもつながり、お客様との信頼関係構築に有用かもしれません。

コストの目安3段階

以上より、検体測定室におけるコストは、その目的により大きく変わるため、「何のために開設するか」を決めておくことが重要です。しかし、これでは表題の答えになっていないため、おおよその金額を記しておきます。
※人件費1人あたり1万円、作業に関する諸経費や衛生消耗品を含む備品および什器は含めずに算出。外注せずに内製化した場合の金額です。
あくまでも一つの目安ですが、これから検体測定室を検討する際にヒントとなりましたら幸いです。

安さ重視|健康啓発イベント等

測定ブース2カ所、測定項目HbA1cのみ1種、受験対象者40人、従事スタッフ4名、本体機器レンタル1台とした場合、
1日あたり10~15万円

測定項目の充実|薬局内、テナント内

測定ブース2カ所、測定項目HbA1c・随時血糖値・脂質4種の計6種、受験対象者10人、従事スタッフ2名、本体機器レンタル3台とした場合、
1日あたり15~20万円

継続的な健康管理|企業内、薬局内

測定ブース1カ所、測定項目HbA1c・脂質4種の計5種、受験対象者10人/月、従事スタッフ含まず、本体機器購入1台とした場合、
6カ月あたり70万円前後

さいごに、これをお読みくださった方の検索にかける時間や労力が、ほんの少しでも減らすことが出来ますよう、心よりお祈り申し上げます。